执笔者プロフィール

桑原 夏子(くわばら なつこ)
その他 : 早稲田大学高等研究所専任講師塾員 専門分野/ 西洋美術史

桑原 夏子(くわばら なつこ)
その他 : 早稲田大学高等研究所専任講師塾員 専門分野/ 西洋美術史
2004年4月。庆应に入学したばかりの私は、配布されたシラバスに目をみはった。「何だこれ、面白そう! 大学ってこんなことも勉强するのか」。入学前から西洋美术史が勉强したかったのに、気付くと専攻とはあまり関係のなさそうな科目までたっぷり履修してしまった。知らないことを知っていく毎日はとても楽しく、卒业する时には208単位を取っていたほどである(今は履修上限があるらしい)。
あるとき、履修していたホメロスの西洋古典学と日本アニメの社会学がいずれも「自己存在の証明」をテーマにしていたことに気付いた。そのとき、知识と知识の根が地下で1つに繫がった気がした。学ぶことのワクワク感に満たされ、足取りは軽く、その日に见た叁田の丘はとりわけ美しかった。
私は美学美术史学専攻に进み、その后は「圣书に记述のない、圣母マリアの晩年がどのように絵画化されてきたのか」をテーマに研究した。扱う対象は地中海圏全域、5世纪から15世纪という広范囲にわたる。イタリア留学中は作品を彻底的に、はらわたを抜き出すように调べ尽くすよう指导され、美术史の研究手法をどっぷり叩き込まれた。それを体得するのに梦中でもあったし、必死でもあった。里を返せば、それ以外のことに目を向ける余裕がなかったともいえる。
帰国后、他分野の研究者たちと话す机会が増えるにつれ、研究対象についてこれまで见えていなかった侧面があることに気付かされた。そんなとき、ふと、庆应での日々が记忆に苏った。别々の学问が、実は同じ问题を共有していたり、违う视点から物事を见ることで今まで気付かなかった姿が立ち现れたりする。それを今度は自分の研究の中に见つけてみたい。専门分野を深く掘り下げると共に、他分野からの眼差しをクロスさせることが、知的个性に繫がるのではないか。そう思い、苦労して书いた博士论文の内容を解体し、今度は美术史以外の学问からも研究を见つめ直すことにした。初めての単着『圣母の晩年──中世?ルネサンス期イタリアにおける図像の系谱』(名古屋大学出版会、2023年)はそうやってできた本である。
拙着はありがたいことに今年、第6回文学部西脇顺叁郎学术赏を受赏した。授赏式で久しぶりに访れた叁田の丘は、学部生のときに见たあの日と同じくらい、美しかった。
※所属?职名等は本誌発刊当时のものです。