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慶應義塾

精神の歩みを主题とする作品の研究

登场者プロフィール

  • 大嶌 健太郎

    文学部 仏文学専攻 助教

    大嶌 健太郎

    文学部 仏文学専攻 助教

2024/10/31

20世纪小説の幕开け

わたしは、学生时代から今日まで一贯して、20世纪フランスの小説家、マルセル?プルーストを研究してまいりました。『失われた时を求めて』という长大な作品により、スタンダールやバルザックにはじまった近代小説を完成させるとともに、その后の20世纪の実験的小説を予告するという伟大な功绩を遗した作家です。どこともわからない寝室で不眠に苦しむ中年男性が、曖昧模糊とした意识のなかで自分の过去を回想することから始まるこの作品はしかし、これと言った明瞭なプロットや特定のテーマを持つ作品ではありません。パリ社交界への憧れと幻灭、海辺のリゾート地で知り合った魅力的な少女との恋などを経て、ついにはそうした无為の生活から脱却し、これまでの自身の生を芸术作品として昇华させようと决意するまでの、主人公の精神の轨跡そのものが主题と言えるでしょう。

文学史のなかのプルースト

わたしの最近の関心は、いわゆるベルエポックの文学状况におけるプルースト作品の文学史的意义を充分に理解すべく、これまであまり比较されることのなかった同时代の作家や、当时のフランスの文坛が関心を寄せていた外国文学と関连づけてプルーストを考察することにあります。例えば、プルーストによる写実主义批判はこれまで、ひとつの小説美学上の革新と考えられてきました。他方で、无為と情念の生活を超克して创造者となるという『失われた时を求めて』の展开は、読者に生の浄化を促すという伦理的な意义を担っているとも言え、このことは、当时のフランスの作家たちが切り开こうとしていた小説の新たな可能性、方向性のひとつとして评価されるべきではないかとおもいます。

旅としての芸术受容

优れた批评家でもあるプルーストは、文学のみならず芸术一般を享受することとは、新たな眼をもって世界を见つめなおすひとつの旅である、という主旨のことを述べています。要は、ある作品を受け入れるとは、それを创った芸术家の世界観を内面化することですが、さらに大切なのは、そこから先の作业にあります。学び取った新たなヴィジョンで人生や世界を见つめなおし、これまで気づいてこなかった新たな真実を自ら発见することこそ、芸术を享受することの本当の意义だと言えるでしょう。文学部とは、このような知的営為をより科学的に、実証的に行いながら、揺るぎなくもしなやかな批判精神を体得するための场であると信じています。

※所属?职名等は取材时のものです。