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慶應義塾

フランツ?リストの音楽にみる芸术の使命

登场者プロフィール

  • 福田 弥

    文学部 美学美術史学専攻 准教授

    福田 弥

    文学部 美学美術史学専攻 准教授

2020/12/21

庆应义塾と音楽学

多様な音楽を学术的に研究していく音楽学という学问分野は、いまだ日本ではあまり知られていないかもしれません。庆应大学文学部には、私の恩师である中野博司先生以来、半世纪を越えたこの学问の伝统があります。本塾において私が音楽学の研究と教育に携わることができることは、本当に幸せなことだと思っています。音楽学の分野は多岐に亘りますが、私が携わってきた研究対象は西洋音楽のなかでも、とりわけロマン派の音楽家フランツ?リスト(1811?86)の音楽です。

フランツ?リストの芸术観

1830-40年代にピアニストとして、文字通り、全ヨーロッパを席捲したリストは、ピアノのヴィルトゥオーソとして知られています。超絶技巧による华美な作品が「リストらしい」作品と言われてきましたし、実际、彼の音楽にはそうした一面があることも事実です。一方で、彼の作品や人间性には多くの矛盾を见出すことができるでしょう。「音楽とは何か」「芸术とは何か」という、芸术に関わる者にとっての本质的な问いに対して、若き日から彼なりに真剣に向き合い、答えを导き出そうとしたことも事実です。そして諍いをする人间を和らげ、気高くすることこそ、芸术の使命であるという考えに至りました。悪と苦しみからの救済をめざす芸术宗教ともいえる音楽こそが、真の「リストらしい」音楽であると私は考えています。とくに1850年代以降、交响诗という器楽のジャンルでこうした音楽を追求していましたが、1860年代以降はオラトリオやカンタータなどの宗教的声楽曲やオルガン曲の世界で同様の追求をしていくことになります。超絶技巧は、そうした彼の壮大な世界を表现するために必要な手段であったとも言えるでしょう。しかしながらリストの宗教的作品は未だ研究が进んでおらず、作曲过程などの基本データも不明な点が多々あります。多くの血が流された激动の19世纪ヨーロッパにおいて、彼は自らの芸术観をいかにして创作活动において表现していったのか、それを明らかにしていくことが私の研究テーマです。

フランツ?リスト《ブロンドの小さな天使》 自筆譜 (慶應義塾図書館所蔵)

※所属?职名等は取材时のものです。