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慶應義塾

庭园芸术学の可能性を拓くために

登场者プロフィール

  • 后藤文子

    文学研究科 美学美術史学専攻

    后藤文子

    文学研究科 美学美術史学専攻

2020/12/21

Photo: Dagny Siebke

ドイツ语圏を中心とする近代の庭园芸术を研究しています。ひとたび国を问わず、一九世纪后半から二〇世纪前半にかけての时代を生きた西洋の近代芸术家の多彩な営みへと目を向けると、画家、彫刻家、建筑家、工芸家を问わず、彼らの実に多くが好んで庭づくりに精を出し、中には専门的な知识をもって植物を育てている者も少なくないことに惊かされます。本格的な温室管理まで手がけた芸术家もいるほどです。こうした状况が、けっして単なる手游びのガーデニング趣味などではなく、むしろ近代的な造形芸术制作そのもののあり方に対するきわめて本质的な関心と実は不可分であると考えるところから、今の私の研究は出発しています。

絵画や彫刻などの造形芸术は空间の芸术です。その意味で庭园芸术も空间的な造形でありながら、同时に、そこでは生命的な植物が育ち、枯れ、水が流れ、鸟が囀り、风が吹きわたることで、それは时间的な特性も强く帯び、まさに「空间―时间的空间形成」を问いかけてやみません。多くの近代芸术家は、造形芸术の、とりわけ制作论の水準において、この空间―时间の统合的な位相に対してきわめて自覚的でした。しかも彼らは、そうした统合の位相を生き生きと浮かび上がらせるのが、庭园的空间を心身で感受する人间の感性的な働きにほかならないことにも敏感で、だからこそ热心に、自らの心身をもって自然的环境造形としての庭园づくりに取り组んだと考えられます。

一九世纪に诞生する美术史学の学问体系においては、庭园芸术は建筑の下位に位置づけられ、いわばその「添景」として、不动の建筑を分析するための方法に準じて検讨される伝统が定着してきました。私は、庭园をそうした不动の「添景」として研究するのではなく、むしろその特性たる动态性において捉えたいと考えています。この関心に基づき具体的な研究対象としているのが、一九世纪后半以降、伝统的な歴史主义を否定して、生命的な植物の存在を重视することで自然らしさを追究した改革庭园です。そこでの本质的な特性を把握するためには植栽植物の理解が不可欠ですから、ドイツの园芸学者や庭园史家、庭园保存の専门家らとの学术的な交流を积み重ねています。そして、そのような庭园芸术をその最重要な本质である空间―时间の统合的な位相において解釈するための新たな研究方法论として、一九世纪末の近代芸术学に连なる庭园芸术学の可能性を拓くことが目标です。

(2020/12/21)

改革庭园期の植物栽培家?造园家カール?フェルスターの自邸の庭(ポツダム近郊ボルニム、2018年、撮影:笔者)