登场者プロフィール
柘植尚则
文学研究科 哲学?倫理学専攻 倫理学分野柘植尚则
文学研究科 哲学?倫理学専攻 倫理学分野
2022/04/01
専門は近代イギリスの伦理思想です。大学院の修士課程では、カントの倫理思想を研究していましたが、カントが同時代のイギリスのモラリストたちの議論に関心を寄せていたことから、彼らの著作を読んでみたところ、その議論に魅了され、博士課程では、近代イギリスの伦理思想を研究することにしました。それからずっと、近代イギリスのモラリストたちの議論について研究しています。
最初に研究の対象としたのは、「良心」をめぐるモラリストたちの议论でした。近代イギリス良心论は17世纪に诞生し、18世纪に完成し、19世纪に终焉しました。そこで、议论の兴亡を辿り、その理由を探ることにしました。そして、兴亡の背景に「利己心(自己爱)」が存在していたことを明らかにし、それを博士论文として缠めました(『良心の兴亡:近代イギリス道徳哲学研究』ナカニシヤ出版、2003年)。
続いて研究の対象としたのは、「利己心」をめぐるモラリストたちの议论でした。ですが、研究を始めてすぐに、近代イギリス伦理思想の全体像を知る必要に迫られました。そこで、研究の準备として、「人间の本性」「感情と理性」「幸福と理想」という共通の主题に関する主要なモラリストたちの议论について検讨し、その成果を入门书として刊行しました(『イギリスのモラリストたち』研究社、2009年)。
ですが、入门书を书いて判ったのは、利己心の问题が近代イギリス伦理思想の中心的な问题であり、それについて论じるには、通史を书くしかない、ということでした。そこで、近代イギリス伦理思想を「道徳」「人间」「社会」の叁つの领域に分け、それぞれの领域におけるモラリストたちの议论の流れを辿り、その成果を概説书として刊行しました(『近代イギリス伦理思想史』ナカニシヤ出版、2020年)。
入门书や概説书を书いたことで、近代イギリス伦理思想の全体像をいくらか明らかにすることはできたと思っています。ですが、肝心の、利己心をめぐるモラリストたちの议论に関する研究は、遅々として进んでいません。理解は深まりましたが、その一方で、谜も深まりました。议论を全体としてどのように捉えるべきか、暗中模索が続いていますが、残りの人生で、何とか研究を缠めたいと思います。
(2022/4/1)