登场者プロフィール
山道佳子
文学研究科 史学専攻 西洋史学分野山道佳子
文学研究科 史学専攻 西洋史学分野
2023/04/01
私の近年の研究対象は18世纪后半から19世纪初头のバルセローナ市における绢を扱う手工业者とその家族です。旧体制の崩壊が进行しつつあった近代揺篮期の都市で、ギルドに组织された绢产业において、技术革新やギルド外からの参入がどのように行われたのか、労働の组织はどのように変化したのか、家族を中心とした小さな工房での职业と财产の継承はどのように行われたのか、女性の労働への参加や家业への贡献の実态はどのようであったか、これらを実証的に明らかにすることを课题としています。バルセローナの近代化の花形と言えばその原动力となった绵工业ですが、ちょうど2013年からの在外研究の折、ヨーロッパの社会経済史学界で「ギルドの再评価」が研究テーマとして大いに盛り上がりを见せていたということもあり、ギルドの规制を受けない自由产业であった绵工业に対して、ギルドに组织された古い制度を保持しながら発展した产业のあり方に兴味を持ちました。その后、文书による研究と并行して、彼らが生产していた绢の捺染スカーフや刺繍入りストッキング、饰り纽やタッセル、リボンなどの実物を手に取って调査していくうち、すっかりそれらのモノの魅力にも取り凭かれていきました。
私が研究対象としている时期のバルセローナには有効な人口调査のデータがなく、徴税簿も実态との乖离が激しく、教区簿册も大半が焼失しているため、研究には、対象の手工业者とその家族が遗した「遗言书」や「结婚契约书」、「死后财产目録」などの公証人文书が頼りです。亲方が妻に财产を遗すと记した「遗言书」、长年の家内奉公によって持参金を贮めた市外出身の农家の娘がバルセローナの亲方の息子と结婚する条件を定めた「结婚契约书」、亲方の死亡时に家の中にあったあらゆる财产を、织机や商品在库から壊れた锅釜の类までリスト化した「死后财产目録」など、当时の人々の人生や生活の息遣いが肌で感じられる文书を読み解いていく过程が何と言っても研究の醍醐味です。糸や商品、道具などを指す言叶の意味がわかるためには、いろいろな种类の文书を読み、博物馆などで多くのモノを见ることが必要です。そして、文书から浮かび上がった一人ひとりの人生をどのように一般化できるのか、个别の史料の叙述を体系的な分析の中にどのように位置付けて评価することができるのかという难しさと、日々格闘しています。
(2023/4/1)