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慶應義塾

手稿谱から见た大作曲家の创作と演奏の现场

登场者プロフィール

  • 西川尚生

    文学研究科 美学美術史学専攻

    西川尚生

    文学研究科 美学美術史学専攻

2025/04/01

Photo: Gao Nishikawa

启蒙时代のドイツ语圏の音楽、とりわけ奥.础.モーツァルト(1756-1791)の作品について研究を进めています。音楽作品の研究にはさまざまなアプローチの方法がありますが、私がとくに力を入れているのは、手稿谱の文献学的?古文书学的调査です。700曲を超えるモーツァルトの楽曲は、作曲者自身が书いた自笔谱、同时代の写本(笔写谱)や初版谱など、さまざまな形态の楽谱史料によって今日に伝えられてきました。楽谱というと、一般の人にとって驯染みがあるのは、音楽书店で入手できる现代の印刷楽谱でしょう。しかし、モーツァルトの创作をめぐる诸问题を解明するためには、上记のような歴史的な楽谱(オリジナル楽谱)の调査が欠かせません。

西洋の芸术音楽の手稿谱は、作品を记録し他者に伝えるだけのものではなく、楽谱それ自体が「创作の场」になっている点に大きな特徴があります。モーツァルトに関していえば、5歳から创作を开始した天才というイメージが定着し、何の苦労もなく头の中で作曲を终え、いきなり完成形の楽谱を书き下ろすなどといわれますが、実际の自笔谱を见てみると、修正个所はきわめて多く、斜线で消された部分に、完成形と全く异なる音符が记されていることも珍しくありません。またモーツァルトは大规模な作品や复雑な书法の作品を作曲する际には、いきなり総谱(スコア)を书かず、楽想の断片を记したスケッチや下书きを準备し、时间をかけて作品の构想を练っていました。それらも含めた自笔谱を详细に検讨することにより、作曲家の思考の推移や创作プロセスを辿ることができるのです。

手稿谱の研究では、そうした音符内容だけでなく、楽谱の笔跡、纸の形状や透かし模様、インクの色、五线の段数や幅などのデータもきわめて重要で、作品の真偽判定、成立年代の推定、受容史の解明などに役立ちます。私が近年とり组んでいるのは、モーツァルトが実际に演奏会で使った笔写パート谱の体系的な研究です。モーツァルトはオペラ、教会音楽、交响曲など、オーケストラ编成の楽曲を演奏する时には、専门のコピスト(写谱师)に頼んで、个々の演奏者用のパート谱をつくらせていました。兴味深いのは、できあがったパート谱に作曲家がしばしば手を加え、作品を改订していたことです。それらの改订内容は、大本の自笔スコアには反映されず、パート谱の中にだけ记されている音符なのです。モーツァルトがいつ、どのような状况下でその作品に手を加えたのか、その意図はどこにあったのか。それをつきとめることで、モーツァルトのリアルな音楽活动にせまることができます。これまで軽视されてきた笔写パート谱の研究は、とりわけ谜が多い彼の晩年の活动に、新たな光を当てることになると考えています。