登场者プロフィール
岩间一弘
文学研究科 史学専攻 東洋史学分野岩间一弘
文学研究科 史学専攻 東洋史学分野
2019/04/01
私は近年、中国料理を通して、东アジアおよび世界の近现代史を広く见渡そうとする研究に取り组んでいます。
21世纪には、タイ?マレーシア?シンガポール?韩国?日本など多くの国々が、自国料理をブランド化して世界市场でシェアを拡大しようとする积极的な文化外交を展开しています。しかし、东?东南アジア诸国の「国民食」とされる食べ物のなかには、例えば日本のラーメン、韩国のチャジャン麺、ベトナムのフォーなどのように、中国起源であるか、あるいは中国の食文化に强く影响を受けたものが数多くあります。これらの国々の人々が、中国各地方の食材や调理法を自国料理に取り込みつつも、中国料理と差别化しながら自国料理を作り上げてきたからです。私の研究课题は第一に、世界各国の政府と民间が中国料理をどのような政治?社会状况、ビジネス环境のなかで自国料理に取り入れてきたのか、あるいは取り入れてこなかったのかを明らかにすることです。例えば、1930年代以降のタイの国民国家がパッタイ(炒め米麺)を「国民食」として创案して、国内外に普及させていく过程を调べています。
そして第二に、中国本国において「中国料理」がいつ顷からどのように、一つの「国民料理」(国民国家の料理体系)として制度化され、宣伝されたのかを考察しています。中华民国时代(1912~1949年)までは、実态として都市?地方ごとに固有な食文化が再生产される倾向が强かったので、中国における「国民料理」の形成を考えるには、中华人民共和国(1949年~)の建国初期が重要です。1950年代の北京では、外国の宾客や国内の要人を招いた「国宴」(国家宴会)のために、各地方料理の精髄を集めた新しい料理が确立されました。当时の北京や上海などの外食业界は、党?政府干部の接待のために活気づいていました。そうしたなかで、全国の地方料理を网罗する料理大全『中国名菜谱』が编纂されたり、调理师の国家资格や等级が定められたりもしました。このように国家が主导する中国料理の体系化?制度化およびその政治利用や宣伝工作を、具体的な事例研究によって検証していくことを目下の课题にしています。
くわえて第叁に、なぜ日中戦争が日本?アメリカ?イギリスなどで中国料理の普及を促したのかを、世界史的な视点から解明したいと考えています。例えば、中国大陆に対して军事的に拡张した日本帝国内で中国の食文化が広まった一例として、「満洲料理」や満洲食文化を创生する试みの全貌が明らかになりつつあります。さらに、日中戦争は第二次世界大戦の一戦域となりましたので、中国とともに日本と戦ったアメリカやイギリス、そしてアメリカ军が驻留した世界各都市で、中国料理店が一时急増しました。戦时?戦后期の世界各国?各都市における中国料理店?日本料理店の盛衰には、どのような政治?経済?社会的背景があったのかを调べて比较したいと思っています。
(2019/04/01)