2017/01/11
庆应义塾大学医学部
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
庆应义塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、耳鼻咽喉科学教室の小川郁教授らは、NHO東京医療センターの松永達雄部長と共同で、患者のiPS細胞を用いて遺伝性難聴のPendred(ペンドレッド)症候群の原因を明らかにし、新規治療法を発見しました。
笔别苍诲谤别诲症候群は进行性の难聴やめまい、甲状腺肿を引き起こす病気ですが、遗伝子改変マウスではヒトのような进行性の难聴にならず、治疗法の开発が进展しませんでした。
本研究チームでは、患者の血液からiPS細胞を作り、内耳の細胞に誘導し、難聴を引き起こすメカニズムを探りました。その結果、患者からの内耳の細胞内においてのみ異常なペンドリン(PENDRIN) タンパクが蓄積し、アルツハイマー病などの神経変性疾患と同様の凝集体が作られていました。この内耳細胞は細胞ストレスに脆弱であり、内耳の細胞死によって、難聴が徐々に進行していくことが示されました(「内耳変性」仮説)。
さらに、本研究チームではこの细胞死を防ぐ治疗薬候补を探し、すでに免疫抑制剤として用いられているシロリムス(厂颈谤辞濒颈尘耻蝉,别名ラパマイシン)に治疗効果がある可能性を、世界で初めて発见しました。
内耳は骨の内部にあるリンパ液に満たされた臓器で、検査のために细胞を採取することはできず、难聴が进行していく过程を観察できません。患者颈笔厂细胞を活用した本研究成果によって、アルツハイマー病などと同様の现象が内耳でも生じるという予想外の结果が导き出され、今后、老人性难聴を含めた难聴研究に大きなパラダイムシフトをもたらす可能性があります。また、本研究を通して开発した、ヒト颈笔厂细胞から内耳细胞を効率的に安定して作成する方法は、これまでに効果的な治疗法のなかった様々な遗伝性难聴の治疗法开発や、原因不明の难聴の创薬研究に大きく寄与するものと期待されます。
本研究成果は2017年1月3日に「Cell Reports」に掲載されました。
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