2022/08/26
庆应义塾大学医学部
庆应义塾大学医学部薬理学教室の塗谷睦生准教授、横浜国立大学環境情報学府博士課程前期2年の中村花穂、庆应义塾大学医学部薬理学教室の唐澤啓子(研究当時)、同大学医学部薬理学教室の安井正人教授らの研究グループは、これまで直接見ることができず謎に包まれてきた、脳内のペプチド性ホルモンの一種であるオキシトシンを「見える化」するツールの開発と応用に成功しました。
オキシトシンは、分娩促进や授乳促进、母性行动などに関与し、母亲が子を产み育てる上で重要なホルモンとして知られてきました。さらに近年、これらの効果に加え、日常生活の中で人间関係を筑いていく社会的行动においても重要な役割を持つことが明らかにされ、ヒトを含む动物の精神を强力に调节する、脳内の神経伝达物质としての役割が注目を集めています。闘争欲や恐怖心を减少させ他人に対する信頼感を増加させる効果や、自闭スペクトラム症の中核症状である社交性を改善する効果から、一般的には「幸せホルモン」や「爱情ホルモン」という名称でも亲しまれ、とても注目されています。
しかし、オキシトシンはその重要性にもかかわらず、脳内における作用部位や动态が谜に包まれてきました。これは、オキシトシンが无色透明で、分子量が非常に小さいため、通常「见える化」に用いられる蛍光标识(タグ)を付加すると、オキシトシン本来の动きや性质に影响を与えてしまい、真の姿をとらえることができないからでした。本研究では、これらの影响を最小限に抑えた极小タグであるアルキン(アセチレン系炭化水素)をオキシトシンに付加した「アルキンオキシトシン」の开発に成功しました。さらに、この新たな「见える化」ツールをさまざまな条件下でマウスの生きた脳组织に适用することにより、これまで谜に包まれてきたオキシトシンの脳内における作用部位や时空间的动态をとらえることに初めて成功しました。
本研究で开発した新规ツールは、オキシトシンに限らず、同様に脳内で重要な役割を持つペプチド性神経伝达物质一般に広く応用できることも确认されました。したがって、本研究成果により、オキシトシンをはじめとするさまざまな伝达物质が见える化され、まだまだ谜の多い精神机能の分子基盘への理解が深まり、脳研究を大きく前进させることが期待できます。
本研究成果は、2022年8月26日(米国东部时间)に、アメリカ化学会(础颁厂)が出版するAnalytical Chemistryのオンライン版に掲载されました。
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