2023/06/20
庆应义塾大学医学部
庆应义塾大学医学部内科学教室(循環器)の遠山周吾専任講師および小林英司客員教授、医学部?医学研究科心臓病未来治療学共同研究講座の谷英典特任助教らの研究グループは、株式会社ニッピとの共同研究により、ブタの心臓から抽出したコラーゲンを用いることにより、成熟したヒト人工心筋組織を作製することに成功しました。
ヒト人工多能性幹 (iPS)細胞は、理論的に体を構成する全ての細胞種へと分化できる多能性を持つことから心筋細胞への分化が可能です。そのため、従来リソースが限られる心筋細胞を大量に作製したり、遺伝性などの患者の特性を有する心筋細胞を培養皿上で作製したりすることで疾患の研究や創薬研究に応用することが期待されています。しかし、培養皿上で作製したヒトiPS細胞由来の心筋細胞は胎児期相当の未熟な細胞であり、こうした研究に用いる上での細胞の成熟化の再現性が不十分であることは大きな課題になっています。
今回、共同研究グループは、细胞外基质の中でも最も重要な构成成分である线维性コラーゲンの臓器ごとの违いに着目しました。その结果、ヒト人工心筋组织を作製するにあたってブタの6臓器から抽出した各コラーゲン(心臓、脾臓、肾臓、肝臓、肺、皮肤)を添加した场合に、心臓コラーゲンを用いたヒト人工心筋组织が最も形状が安定し、构造的にも机能的にも成熟化が进むことを确认しました。その违いが生まれる原因としてコラーゲンの组成の违いがあり、Ⅰ型以外に、Ⅲ型及びⅤ型コラーゲンの含有率が高いことが、常に収缩弛缓を継続するヒト心筋组织の形状の维持にも组织の成熟化にも重要であることを见出しました。この研究成果は、今后创薬や疾患モデルの研究においてより有用な成果を生むことが期待できるとともに、臓器特异的な细胞外基质がその臓器を构成する细胞の成熟に関わるという新たな知见を生み出したものと考えます。
本研究成果は2023年5月29日(米国东部时间)に、国际学术誌 Biomaterials に掲载されました。
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