2024/08/20
庆应义塾大学医学部
CAR-T細胞療法は、患者の末梢血からT細胞を採取し、体外でがんを認識する遺伝子CARを導入してがん細胞を攻撃できるようにしてから患者へ再び戻す治療法です。現在B細胞性血液悪性腫瘍に対し臨床応用がなされていますが、固形がんに対するCAR-T細胞療法の有効性は限定的でした。その要因の一つにCAR-T細胞が体内でがん細胞と戦ううちに消耗し攻撃力が落ちる「疲弊」と呼ばれる現象があります。過去に東京理科大学?生命医科学研究所の吉村昭彦教授(研究当時:庆应义塾大学医学部微生物学?免疫学教室)らの研究グループは、マウスの実験モデルにおいて、疲弊の調節因子であるNR4Aをなくすことで、CAR-T細胞が疲弊しにくく、強い抗腫瘍効果を発揮することを報告しました(Nature 2019; 567: 530-534)。しかし、これまでヒトのT細胞においてNR4Aの発現を抑えることによる影響や、疲弊化を回避する潜在的なメカニズムについては明らかにされていませんでした。
今回、本学医学部内科学教室(呼吸器)の中川原贤亮大学院生(学术振兴会特别研究员)、福永兴壱教授、および东京理科大学の吉村昭彦教授らの研究グループは、狈搁4础の発现を全てなくしたヒト由来颁础搁-罢细胞を作成することに成功し、その抗肿疡効果を评価しました。狈搁4础を无くした颁础搁-罢细胞は、がん细胞との培养下において、野生型の颁础搁-罢细胞と比较し高い増殖能と疲弊化への抵抗性をもち、持続的に强い抗肿疡効果を発挥することが确认されました。また狈搁4础の発现を抑えた颁础搁-罢细胞は、ミトコンドリアの恒常性が高まり、优れた代谢活性をもつことも明らかにしました。さらに人の肺がん细胞株を移植したマウスの実験モデルにおいても、狈搁4础を无くした颁础搁-罢细胞はヒト肺がんへの治疗効果が増强され、マウスの寿命を延长することができました。
この研究は、固形がんに対する颁础搁-罢细胞疗法の新规治疗戦略につながり、固形がんに対する免疫疗法への応用が期待されます。
本研究成果は、2024年8月16日(英国夏时间)に、米国がん免疫治疗学会(Society for Immunotherapy of Cancer)の机関誌であるJournal for ImmunoTherapy of Cancer に公开されました。
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