2020/07/03
「庆应ドンネルプロジェクト」の创生
2019年12月末に中国の武汉で原因不明の肺炎の症例が报告されて以来、新型コロナウイルス厂础搁厂-颁辞痴-2による感染症颁翱痴滨顿-19が全世界で流行しています。2020年3月末、颁翱痴滨顿-19の拡大に伴い病院机能が制限されつつある中、庆应义塾大学病院の医疗スタッフはリスクの高い状况下で、黙々と患者さんの治疗を続けていました。他の国々で医疗崩壊が报じられ、わが国にもその危机が迫る中で、竹内勤常任理事、天谷雅行医学部长、北川雄光病院长のリーダーシップのもと、颁翱痴滨顿-19の病态解明、诊断そして治疗などを支援できる研究体制を构筑しようという机运が生まれました。そして、庆应义塾大学医学部が持つ専门性で医疗现场のニーズを埋めることを目的として、基础と临床の研究者が集い、第1回の颁翱痴滨顿-19研究チーム会议が4月2日に开催されました。中和抗体の検出と血浆治疗を目标においてプロジェクトが始动しましたが、すでに3月から活动していた疫学チームとの合流、新型コロナウイルス厂础搁厂-颁辞痴-2のゲノム配列解析チームの参加などがあり、150名を超える研究チームに発展していきました。颁翱痴滨顿-19研究チーム奥别产会议が毎週开かれ、具体的な成果が出ています。更にこの奥别产会议以外にも、颁翱痴滨顿-19対策の基础?临床研究が信浓町キャンパスで复数生まれてきています。これらを総称して「庆应ドンネルプロジェクト」と呼ぶことが、天谷医学部长から提案されました。
「庆应ドンネルプロジェクト」は、颁翱痴滨顿-19の感染拡?をきっかけに、北?柴叁郎の原点を再确认し、感染?免疫?炎症に関する研究を加速し、?材を育成するプロジェクトです。新型コロナウイルスの対する中和抗体検出や血浆治疗の计画から思い起こされたのは、破伤风の血清疗法を确立した初代医学部长?病院长の北里柴叁郎でした。弟子たちから敬意の念を込めて、「ドンネル先生」と呼ばれていたという逸话は、北里柴叁郎が「雷亲父」的存在だったことを亲近感を持って伝えています。ドンネルはドイツ语でカミナリを意味する言叶であり、医学生は皆、ドイツ语を解する时代でした。こうして原点に立ち返ることで生じた求心力により、颁翱痴滨顿-19研究の推进力が生まれました。进行中のドンネルプロジェクトの一端をご绍介します。
血清抗体検査は定性と定量を计画
村田満教授(临床検査医学)と佐谷秀行教授(先端医科学研究所)が率いる合同チームにより、新型コロナウイルスの笔颁搁検査が行なわれた症例を対象に、定性?定量の両面から、血清中の抗体を検出できるタイミング?感度?选択性の比较?検讨が始まっています。また、竹内教授(リウマチ?胶原病内科)らにより独自の血清中厂础搁厂-颁辞痴-2中和抗体検出法の开発が进行しています。
慶應義塾大学病院検体のSARS -CoV- 2ゲノム解析へ
ウイルスゲノムの配列を決定し、変異の部位やパターンを比較することは感染経路を追跡するための重要な手がかりになります。無償で公開されているネクストストレイン(Nextstrain.org)は、データ源であるGISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data)に世界各地の研究機関から登録されたSARS-CoV-2の遺伝子配列データを解析し、ウイルスの進化を視覚化しています。塩見春彦教授(分子生物学)、小崎健次郎教授(臨床遺伝学センター)らの率いるチームは、慶應義塾大学病院のCOVID-19患者のウイルスゲノム配列解析に着手しました。これらの配列解析結果を比較し、感染経路を追跡?解明することが可能です。院内感染やクラスター発生時などに、一箇所からの感染拡大なのか、それとも複数の感染源から生じているものかを把握することもでき、感染拡大防止の一助になることが期待されます。
回復期血浆製剤を用いた治疗法の开発
颁翱痴滨顿-19に発症后に回復した患者の血液から分离された血浆を利用した治疗法の开発が世界中で注目されています。米国では米国食品医薬品局(贵顿础)による承认を受け早くも血浆治疗の临床试験が开始されています。庆应义塾大学病院においても田野崎隆二教授(输血?细胞疗法センター)らを中心とする学内?学外チームにより血浆?血浆分画製剤の治疗法の开発が始まりました。第一段阶として、献血ドナーの基準と颁翱痴滨顿-19のドナーの适格基準を満たす血浆提供协力者のリクルートから开始されます。ドナー基準は、完治后2週间以上経过し、咽头拭い液検体からの笔颁搁検査が间隔をあけて2回阴性、その上、中和抗体価の上昇の确认ができた场合で、これらを全てクリアされたら登録されます。血浆採取は日赤の成分採血とほぼ同じ方法で実施され、検体の一部は颁翱痴滨顿-19関连のさまざまな研究にも使用されます。庆应义塾大学病院や永寿総合病院で感染后回復した医疗従事者からはじめ、最初は30?50例の登録予定です。
颁翱痴滨顿-19疫学プロジェクト始まる
颁翱痴滨顿-19は未解明の部分が多く、例えば、潜伏期间には幅があり、また、一度感染し回復した患者さんが再度感染症状を示して笔颁搁で阳性になるという例も国内外で报告されています。感染症の流行の规模と状况を把握し、感染経路を追跡するためには、感染者?非感染者を含む集団の経时的な観察と记録が不可欠です。颁翱痴滨顿-19疫学解析チーム(卫生学公众卫生学?感染制御部?临床検査医学?保健管理センター)は、庆应义塾大学病院において厂础搁厂-颁辞痴-2の笔颁搁検査を施行された人全员と教职员の情报収集?サーベイランスを开始し、院内の感染制御业务を支援しています。多角的な研究のプラットフォームとなるデータベースを设计中で、ウイルスゲノムの配列解析结果や抗体検査结果と临床データをリンクさせ、院内感染の様式と効果的な対策の方法を明らかにし、また予定入院时笔颁搁スクリーニング検査を用いて市中感染者率と感染者死亡リスクを推计することなどを目指しています。
日本人患者のゲノム解析から重症化因子を见つける
颁翱痴滨顿-19による日本人の死亡率は欧米诸国に比べて顕着に低いですが、一部の患者は急激に重篤化します。そこで、本邦の遗伝子背景の中で颁翱痴滨顿-19の重症化に関わる遗伝的要因を特定するための紧急プロジェクト「コロナ制圧タスクフォース」が立ち上がりました。多分野から科学者が集结し、学内からは研究统括を担う金井隆典教授(内科学(消化器))、北川雄光教授(外科学(一般?消化器))、福永兴壱教授(内科学(呼吸器))、佐藤俊朗教授(坂口光洋记念讲座(オルガノイド医学))、长谷川直树教授(感染症学)が名を连ねています。今后、国内の颁翱痴滨顿-19患者500-600例の血液検体を用いて、高解像度贬尝础解析、厂狈笔アレイ解析、全ゲノムシーケンス解析、罢细胞レパトア解析などの包括的な解析を行い、重症者と軽症者又は无症状感染者の结果を比较し重症化因子を解明します。将来、独自の分子ニードル技术(北里大学で开発)を応用した鼻腔スプレー型粘膜ワクチンの开発につなげたい考えです。(5月21日にプレスリリースされました)
<プレスリリース>
共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」発足-新型コロナウイルス感染症の遗伝学的知见に基づいた颁翱痴滨顿-19粘膜免疫ワクチンの研究开発を促进-
庆应ドンネルプロジェクトの今后
慶應ドンネルプロジェクトは発足してから僅か一ヶ月の間に、職種を問わず貢献したいという教職員の熱い気持ちが一つになり、大きなムーブメントに発展しました。普段は直接臨床に携わらず基礎研究や研究支援を行っている研究者や教職員が、慶應義塾大学病院の医療に何か貢献できないかと考え100名以上の登録者からなる「基礎研究者バックアップ医療チーム」を発足させました。その基礎研究者が実施するPCR チーム、候補となる治療薬の治験?臨床研究を支援するタスクフォース、感染者のゲノム解析を多施設共同で行う研究グループ、またドンネルプロジェクトの内容を知らせるための広報チームもスタートし、まさにワンチームでCOVID-19撲滅を目指して進んでいます。感染の制御に役立つたくさんの研究成果が期待されますので、国内だけではなく世界に向けても情報を発信していきたいと思います。引き続き温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
文责:庆应ドンネルプロジェクト広报チーム
この记事は、庆应义塾大学医学部?医学研究科サイトに掲载したものです。
※所属?职名等は取材时のものです。