ヘッダーの始まり
本文の始まり
株式会社 Classroom Adventure
2024/11/05
世の中に氾滥する情报の真偽を见抜く目を育てるメディアリテラシー教育。日本でも最近やっと中学や高校の授业の中での学びがスタートしています。そんな中、庆应义塾大学の学生3名が立ち上げたプログラムが话题になっています。3人が立ち上げたベンチャー企業Classroom Adventureが開発した「レイのブログ」。彼らが作ったプログラムは、生徒が夢中で学んでくれると話題になり、世界的な注目を集めています。昨年末には米Google社からフェイクニュースに対する持続可能で全く新しいアプローチだと高い評価を受け、シンガポールで開催されたアジア最大のメディアサミットTrusted Media Summit 2023に招待されました。彼らはどのようにしてこのプログラムを開発したのでしょうか。これまでの活動と今後の取り組みについて話を聞きました。
-「レイのブログ」とは、どのようなプログラムですか?
今井君:インターネット上の情报に対しどう向き合って行くかを谜解きゲームを通して学べるプログラムです。ゲームとレッスンの2つのパートを通してメディアリテラシーへの理解を深めることができるものです。参加者は、スマートフォンなどのデバイスを使って「レイのブログ」にアクセスします。プログラムはアニメーションを使った物语仕立てになっていて、中学时代にタイムスリップするところから物语が始まります。レイと名乗る人物からの挑戦状を受けとり、レイが残したブログからレイが谁なのか、谜を解いていくというのが大まかなストーリーです。レイが残したブログには沢山の误情报が含まれていて、误情报を见破るごとに谜に一歩近づいていくような仕掛けになっています。
-海外でも高い评価を受けていますが、そんなプログラムを开発した3人はどのように出会ったのですか?
今井君:大学のドイツ语のクラスで出会いました。僕たちが入学した时はコロナ祸で、授业がほぼオンラインでした。ドイツ语のクラスは週に4回あって、画面越しにほぼ毎朝颜を合わせるようになったんです。それから体育など一部の授业が対面になって、たまたま帰りのバスで一绪になり、よく话すようになりました。
古坚君:厂贵颁のキャンパスは駅からかなり离れているんです。歩くと1时间くらいかかります。だからみんなだいたい最寄り駅の湘南台駅からバスで通学しています。
今井君:そういえば、古坚君は入学前にキャンパス见学にきたけどたどり着けなかったって言っていたよね。
古坚君:そうそう。アクセスを何も调べずに来てしまって。なんとなく、大学だから駅から近いだろうなと胜手に思っていたんです。最寄り駅には着いたけど、キャンパスにたどり着けなかった。今考えたら、そんなの地図アプリで调べたらすぐに出てきたと思うのですが、なぜかその时は思いつかなくて、キャンパスを见ずに帰ったことがありました。
今井君:バスだとすぐなんですけどね。それで、帰りのバスで初めて対面で会って、「あ、ドイツ语のクラスの…」ということで、话すようになりました。その时に、履修登録の话になったのですが、なんと堀口君が1つも履修登録をしていないことが分かったんです。堀口君はこう见えてアメリカ人なんです。入学后のガイダンスとかも全部オンラインだったので、ほとんど履修の仕组みを分かっていなかったようで(笑)。
堀口君:そうなんです。僕はアメリカで生まれ、18歳で初めて日本に来ました。日本语をしゃべることはできるんですが、日本语の読み书きはいまだに苦手なんです。だから、2人にとても助けてもらいました。
今井君:厂贵颁は1年生からわりと自由に授业が选べて、言语のクラス以外は必修がないんです。だから、自分で履修する授业を决めることができるのですが、堀口君はそのことをどうも理解していなかったようなのです。
堀口君:アメリカでは週末にある日本人学校の补习校に通っていたんですけど、読み书きはやはり难しいです(笑)。
-叁人はなぜ庆应义塾大学への进学を决めたのですか?
堀口君:実は一度、アメリカで现地の大学に入学していたのですが、なんだかフィットしていない感覚がありました。もともとアニメが好きで、日本にも兴味があって、起业することにも関心があり、日本で学んでみたくなりました。面白そうな大学はないかなといろいろと调べる中で、「起业」というキーワードでヒットしたのが庆应义塾大学でした。チャレンジしている人が沢山いて、自由な校风に感じました。それで、庆应义塾の受験を决めました。庆应义塾大学を受験するために受験半年前に日本に入国しました。日本の予备校に通って受験勉强をして、それと同时に汉字ドリルなんかを使って日本语の読み书きの勉强もしたのですが履修登録は难しかった(笑)。
古坚君:僕も実は别の大学に合格をして入学したのですが、コロナ祸でオンラインだけで授业を受ける中、なんだかこの状态で勉强していくのはしんどいなという気持ちが芽生えてしまったんです。现役の时も庆应义塾の文学部とか受けていたのですが、残念ながら当时は合格がもらえずで。この“しんどい”という気持ちを払拭するために、环境を変えてみたいと思うようになって、オンライン授业で大学にも通わないのなら、受験勉强をする时间も取れるのではないかと思って、庆应义塾大学に再チャレンジすることにしました。
湘南台駅にきて、キャンパスを见ずに帰ったと话しましたが、あれは确か受験前の1月だったと思います。当时、僕は信じられないくらい散歩をしていて、駅を降りて少し歩いたら、良い感じの河川敷があって、そこを1时间くらい歩いて帰りました。
今井君:郊外の良さってあるよね。実际僕らはバスを使わずによく駅まで散歩しながら3人で帰っているのですが、散歩の间に3人で话が盛り上がって、「レイのブログ」の构想のアイディアが沸き起こった。
堀口君:そう、僕はこのサバーブな雰囲気が好きです。だから厂贵颁にしました。他のキャンパスは都心にあって便利そうだけど、僕はあまり都会过ぎるのは好きじゃないから、このゆったりとした雰囲気のキャンパスが気に入っています。
今井君:やっぱり集中して勉强する时って、环境も大事だと思うんですよね。僕は东京の世田谷区出身なのですが、高校时代はずっとカナダのすごい田舎の学校に留学していました。アメリカやカナダの大学は広い芝生があり、伸びのびと过ごせるところが多いんです。大学は日本に戻ろうと决めていましたが、できれば、都会から离れて、緑豊かなキャンパスで集中して学べるところがいいなと思っていました。厂贵颁には自分がやりたい分野の先生がいたというのも大きかったのですが、自然が多い环境のキャンパスだっていうのも目指す决め手になりました。芝生もあるし、鸭池という池もあるんです。その池の周りを友达と话しながら散歩するのが好きですね。
-ドイツ语クラスで出会った3人がそこからどのようにしてメディアリテラシー教育に兴味を持ったのですか?
今井君:3人でなんかやりたいねという話が出ていて、そんな時にたまたま見つけたのがGoogleによるGoogle Verification Challengeというファクトチェックの大会でした。確か、最初はSNS広告で見たんだと思います。夏休みにある日本大会に出てみようという話になり、練習したら日本大会で優勝することができたんです。そこから世界大会に出ることになり、世界大会でも4位に入賞できたのですが、この大会をきっかけにファクトチェックに関心を寄せるようになりました。
カナダの高校でメディアリテラシーの授业は受けていたのですが、「ネットは危ないからあまり使わないでね」というように、アクセスしないのが一番といった教育でした。でも、ネット情报に触れずに暮らすのはもはや难しい时代です。コロナ祸で误情报に惑わされる体験を日本人も沢山しました。息を止めていられるかでコロナ感染症にかかったかどうか分かるとか、とんでもない情报が氾滥しましたよね。
堀口君:僕が一番始めに误情报について警戒しなくてはと思ったきっかけはアメリカの大统领选挙でした。それが2016年くらいでしたけど、そのうちに警戒する気持ちは薄らいで。再び警戒心を持ち始めたのがコロナ祸でした。今井君が过ごしたカナダと同様に、アメリカのメディアリテラシー教育も学校では教わるけれども、それほどみんな热心に闻いていなかった。
今井君:误情报に振り回されないことはとっても大切なことです。しかし、学校ではだから「使わないで」という教育になっている。でもネット社会の中で生きるには、「危ないから使わない」ではすまないですよね。いかに「使いこなすか」を学ぶ方が有益なのではないかと、大会を通して考えるようになっていったんです。
もっと楽しく学べたら、メディアリテラシーも向上するんじゃないかと。3人でそれこそ散歩をしている时に、学びをエンタメ化することを思いついたんです。そこで、役割を决めて动き始めました。僕らの所属している研究室は鲍滨や鲍齿を研究しているところで、どちらかというと、教育方面のことを言っているのは僕ばかりで、2人は动画を作ることや、プログラミングなどテクノロジー分野、クリエイティブなことに兴味がありました。
堀口君:僕は谜解きゲームがすごく好きで、中学生くらいの顷からハマっています。オンラインの世界と现実世界を繋いだような谜解きゲームがあるんですけど、それがすごく好きで、その大会を学校とか、いろんな所で开催したいなという気持ちがありました。それで、メディアリテラシー教育をゲーム感覚で学べるものにと思った时に谜解きゲームと掛け合わせるアイディアが生まれました。
古坚君:一応僕がシナリオとか担当することになったのですが、それまでシナリオなんて书いたことがなくて、でも、やるしかないと思って、作りはじめました。
堀口君:大学でプログラミングなどを学びつつ、開発を進めながら、中高生向けプログラミングスクールLife is Tech!で教育インターンとして働いたり、日本ファクトチェックセンターというところで記者として活動しながら知識を身に付けています。
今井君:お金もないので、アニメーションの声优は大学の友人にお愿いするなどして作り上げました。プロトタイプは友人とかに试してもらい、完成度を高めていきました。授业を受ける中高生、大学生をターゲットにプログラムを开発していますが、自分たちが当事者の年齢に近いため、何が面白くて面白くないかという感覚がよく分かる。これも僕たちの强みになっていると思います。
-海外版もローンチされていますね。今后の展望を教えてください。
今井君:ありがとうございます。2023年12月にシンガポールで行なわれたメディアサミット Trusted Media Summit 2023の中でグローバル版として英語バージョンをリリースしましたが、今は台湾など中国語圏で使ってもらえる繁体字版もリリースしました。謎解きゲームという形でエンターテイメント性を持たせたことで、学習する側のモチベーションや、学んだことの定着度が上がることも分かってきました。これら2つはどの分野の学びにも必要なことです。メディアリテラシー教育に限らず、企業研修などでも使っていけるプログラムへと横展開することを考えています。3人で始めたClassroom Adventureですが、学部を超えて協力してくれる塾生仲間が増えてきたので、新たな挑戦もしていきたいと思っています。
学びを楽しくする「ゲーミフィケーション」をテーマにしたクリエイティブファームとして、教育機関や企業研修など幅広い分野で新しい学びの体験を提供している。2022年のGoogle主催ファクトチェック世界大会Youth Verification Challengeで日本優勝、世界4位を獲得したメンバーが中心となり、体験型メディアリテラシープログラム「Ray’s Blog」を開発。動画、投稿に潜むフェイクの見抜き方など、楽しくメディアリテラシー教育を学べる謎解きプログラムとして、現在では世界5カ国(カナダ、インドネシア、日本、台湾、アメリカ)の学校で導入、各地の小中高学校で出張授業を開催している。朝日新聞社主催 大学SDGs ACTION! AWARDS 2024一般部門でグランプリ受賞。Google Trusted Media Summit 2023、総務省「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」にて発表。
※记事中の所属?学年?职名等は掲载时のものです。
サイトマップの始まり
ナビゲーションの始まり
堀口 野明(ほりぐち のあ)君/環境情報学部4年
2002年アメリカ?カリフォルニア州生まれ。大学進学をきっかけに18歳の時に初めて来日。中高生向けプログラミングスクールLife is Tech!での教育インターン、日本ファクトチェックセンターで記者として活動。ファクトチェックの世界にいる中で感じた課題を解決するために今井君?古堅君と共にClassroom Adventureを創業。
今井 善太郎(いまい ぜんたろう)君/総合政策学部3年
2001年生まれ。カナダの公立高校を卒業後、日本に帰国。幼児向けEdTechサービスを運営する株式会社YOMYで取締役副社長を務める傍ら挑戦したファクトチェックの世界大会で堀口君?古堅君と共に日本優勝。Classroom Adventureを共同創業する。エンジニアリングなどのシステム開発を担当。
古堅 陽向(ふるかた ひなた)君/環境情報学部4年
2001年生まれ。「レイのブログ」のコンテンツの開発者。堀口君?今井君とClassroom Adventureを共同創業。YouTuberの運営として約2年間でチャンネル登録者を20万人以上に成長させる。また日本ファクトチェックセンターでインターン、動画メディアを立ち上げる。